メダカの遺伝子組み換え問題について

ひかるメダカについて説明しました

光るメダカとして遺伝子組み換えをして飼育、販売した人たちが、カルタヘナ法違反として国内で初めて逮捕されました。

アクアリウムの仕事をしている弊社としては、非常に気になるニュースであることは言うまでもありません。

 

そもそもカルタヘナ法と聞いてもピンと来る方が少ないのではないか、改良品種とは何が異なるのかイマイチよくわからない方もいらっしゃるかと思います。

 

そこで注意喚起を促す意味も含めて、カルタヘナ法の概要から本件の問題点について、どこよりもわかりやすく現役プロの水槽業者が解説していきたいとおもいます。

 

とくに、メダカ飼育愛好家の方はご一読いただければ幸いです

カルタヘナ法とは

カルタヘナ法とは

カルタヘナ法とは、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の通称です。

 

そのまま言葉で書くと非常に難しそうに感じますが内容はシンプルで、生物多様性への悪影響について未然に防止等するために制定された法律です。

 

カルタヘナ法では、遺伝子組換え生物等を用いて行うあらゆる行為のことを使用等とし、使用形態に応じて第一種使用等と、第二種使用等へと分けられております。

 

例を上げれば、輸入から流通、栽培などといった遺伝子組換え生物等の環境放出を伴う行為は第一種使用等です。

第一種使用等をする際は、遺伝子組換え生物の種類ごとに予定している使用によって生物多様性に影響が生じないか否かについて審査を受ける必要があり、審査の結果、問題が無いと評価された場合のみ承認を受けるてはじめて使用が可能となるわけです。

 

その一方、第二種使用等は、遺伝子組換え生物等を環境への放出が生じない空間で使用しなければなりません。

第二種使用等についても、拡散防止措置が適切なものとなっているか必ず確認を受けなけれならないというわけです。

カルタヘナ議定書について

1999年2月、カルタヘナ(コロンビア)で行われた作業部会直後に開催された、生物多様性条約特別締約国会議においてこの議定書を採択することが目指されたが,交渉参加国間の意見による隔たりが大きく,同締約国会議において交渉はまとまらなかったとのこと。

 

その後,数度の非公式会合における協議を経た結果、2000年1月にモントリオールで開催された生物多様性条約特別締約国会議再開会合において議定書は採択されております。

 

この議定書は、遺伝⼦組換え⽣物の国境を越える移動に焦点を当てており、⽣物多様性の保全及び持続可能な利⽤に悪影響を及ぼさないよう、安全な移送から取扱い及び利⽤についての⼗分な保護を確保するための措置を規定しております。

 

なお、この議定書を日本で実施するため、2003年6月に遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)が公布され、カルタヘナ議定書が日本に効力を生じる2004年2月に施行されております。

遺伝子組み換えとは

遺伝子組み換えについて

遺伝子組換えとは、他の生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、その性質を持たせたい植物などに組み込む技術を利用することです。

 

本件の光るメダカのように、自然界では起こることのないイソギンチャクの遺伝子を持ってくることができてしまったため、従来の掛け合わせによる品種改良では不可能と考えられていた特長を持つメダカを作ることができてしまったというわけです。

 

しかし、このように本来生まれるはずの無い生き物を誕生させ、万が一自然界における生物多様性への影響が出てしまうと大変な問題となってしまうため、これをカルタヘナ法により規制措置を講じているというわけです。

品種改良との違いについて

家畜などの遺伝的性質を改善し,よりすぐれた品種をつくること。

たとえばイネの場合,品種改良の研究が進められ早く実るものから病気に強いもの、寒さに強いものなどといったすぐれた性質をもった品種がつくられてきていますが、そこへ一石を投じたのが遺伝子組み換え技術というわけです。

 

品種改良がランダムに受け継ぎ、目的通りの品種ができるかどうかは偶然に頼ることになるため、開発には長い年月がかかります。

それに対し、遺伝子組み換え技術は、あらかじめ機能がわかっている遺伝子だけを組み込むので、より確実に短期間で目的の品種を作ることが可能になります。

 

また、交配できる品種間でしかできなかった遺伝子の受け渡しが、異なる生物種でも可能となり、品種改良の可能性が広がります。

遺伝子組み換えは品種改良よりも素早く理想となるものを作り出すことができることから、圧倒的時短となるわけです。

遺伝子組み換えのデメリット

遺伝子組み換えのデメリット

言うまでも無いですが、遺伝子組み換えで生まれた生き物が誤って自然界に放出されてしまえば、自然の生態系を大きく変えてしまうことになりかねません。

 

光るメダカがもし、自然の川に放流してしまえば、その川の生態系が破壊される可能性があるため、絶対にやってはいけないことです。

 

ブラックバスなどの外来魚問題や、飼育できなくなった熱帯魚を違法放流してしまう問題同様に、どんどん我々アクアリストの身が狭くなります。

光るメダカニュースのまとめ

光るメダカニュースについて

光るメダカについて、大変心苦しいニュースが入ってきましたので概要をまとめてみました。

 

現在メダカ飼育やアクアリウムを楽しまれている皆さまが、これからも安心してアクアリウムが楽しめるよう、このような世間を賑わす残念なニュースが起きないことを心から願う他なりません。

 

万が一、このようなことが再び起こってしまえば、メダカ飼育はもちろん、アクアリウムを一般家庭で楽しむことすら規制がかかりできなくなる恐れさえあるでしょう。

美しい生き物を求める気持ちは分かりますが、常識を持って売る側も買う側も今一度気を引き締めていきましょう。

 

メダカには罪がありません。

我々アクアリウム愛好家のモラルと誠意を持って、この先も末永く多くの方がアクアリウムを楽しんでいただけること、願っております。