【プロの水槽コケ対策】アクアリウムの藻の原因・種類・対策を徹底解説
水槽に発生する嫌なコケ・藻の種類と対策
水槽を管理していくなかで最も多くの水槽管理者が悩む問題。
それが、水槽表面や水草、流木などへ発生し付着する藻類による水槽トラブルです。
不快感を感じる見た目だけではなく、種類によっては水草を弱らせてしまうこともあり、正しい藻類対策をせずに放置してしまうと、藻類は勢いを増してどんどんと繁殖して増え続けてしまうものです。
厄介な藻類対策には、人力作業による藻の駆除からメンテナンスフィッシュと呼ばれる生き物に頼る除去方法がありますが、藻類の種類によって判断し使い分けならず経験が必要なものです。
そこでここでは、水槽メンテナンス業界で21年働き実践している、水槽へ発生する藻類の対策を中心に、発生する原因から予防方法まで、徹底的に解説いたします。
なお、本記事ではヤマゴケなどのコケと混在させないために、ここからはコケと呼ばずに藻類と呼び解説していきます。
水槽の藻類でお困りの方は、ぜひご活用くださいませ。
水槽に発生する藻の種類とその原因
水槽に発生する藻とは、微生物や藻類が繁殖して形成される緑色や茶色の薄膜状の生物です。
水槽に発生するコケには、以下のような種類があります。
- 珪藻:茶苔は主に水槽セット初期に増殖することが多い藻類です。
- 緑藻(グリーンアルジー): 最も一般的な水槽のコケで、緑色の薄膜状のコケです。
- 青緑藻(シアノバクテリア): 青緑色を帯びたコケで、水槽内の窒素循環の問題から発生することがあります。
- 黒髭藻(ブラックブラシアルジー): 黒くて硬い髭状のコケで、高い光量や餌の過剰供給、水質の乱れが原因です。
- ヘアーアルジー(ヘアーグリーンアルジー): 細長い緑色の糸状コケで、水槽内の栄養素が豊富過ぎることが原因です。
これらの藻類は、水槽内の環境条件やケアの状態によって発生しやすさが異なることがあります。
藻類は水槽内の美観を損なうだけでなく、熱帯魚や水草へも悪い影響を与えることがあります。
コケと藻の違いについて
水槽管理の解説などでは、コケと藻を同じものと説明されることもありますが、厳密には異なる生き物です。
両方とも植物ですが、いくつかの重要な違いがあります。
1. 分類学上の違い
コケは、Bryophyta門に属する非血管植物です。
地衣類や真正菌との共生体も含まれます。
藻は、様々な分類群に属する単細胞または多細胞の水生植物です。
藻類には、緑藻、赤藻、褐藻、および他の多くのグループがあります。
2. 構造上の違い
コケは多細胞植物であり、地表に茂ったり、岩や他の表面に付着する群体を形成します。
コケには、地衣類(菌類との共生)も含まれます。
藻は、単細胞または多細胞であり、水中で個々の細胞または群体を形成します。
3. 生息地の違い
コケは、主に陸上の湿った環境に生育します。
森林の床や湿地、岩や樹皮の表面などに見られます。
藻は、主に水中で見られます。
淡水や海水の中で見られ、岩や他の物質の表面に付着することもあります。
4. 生活形態の違い
コケは陸上で水分を吸収し、光合成を行います。
一部の種類のコケは乾燥に強いですが、一般的には湿気を好みます。
藻は水中で水分や養分を吸収し、光合成を行います。
一部の藻類は光合成を行わず、他の有機物から栄養を得ることもあります。
水槽内の藻の影響と発生原因
水槽に藻類が生える原因は、いくつか理由が存在します。
原因が1つの場合もあれば複数該当している場合もあり、いずれも根本的な解決策が必要となります。
例えば、藻類の吸着剤、除去材を使用し一時的に消したとしても、根本的な問題が解決できていなければ数ヶ月後に再び、藻類が発生してしまうことを覚えておきましょう。
根本的な解決をするために、まずは水槽へ藻類が生えてしまう発生原因について、深掘りして解説していきます。
藻が発生する原因:水質と照明の影響
水槽に生えてしまう藻類の最たる発生原因、それは照明です。
水槽に対して照明が明るすぎる、または照射時間が長いとそれだけ水槽に藻類が生えやすくなります。
水草を美しく育てたいからと強力な照明を設置したり、鑑賞時間を長くするため照明点灯時間を伸ばす方もいますが、明るくすればするほど藻類が生えやすくなってしまうものです。
熱帯魚専門店に行くと、強力な照明で美しく明るい水槽が展示されているケースがありますが、それは水草が十分な光を吸収できる環境が整っていること、マメなメンテナンス管理があってこそ成り立っているものです。
さらに、水槽の照明だけではなく、太陽光や部屋の照明などにも注意をしなければなりません。
藻類の適応能力は凄まじい力があり、仮に水草にとっては不十分な光量だとしても、藻類にとっては十分なこともあり、結果として水槽表面やレイアウト素材が藻類で覆われることとなってしまいます。
水槽のメンテナンスと藻類問題の解決法
照明などの明るさを見直しても水槽から藻類が消えない場合は、水槽内の汚れが蓄積しているかもしれません。
水槽で生き物を飼育することで、生き物が食べる餌や排泄物に藻類が好む栄養物が含まれています。
餌には、熱帯魚の骨格形成に必要とされているリンという成分が含まれていますが、リンは水槽内に蓄積してしまうと藻類の増殖要因となってしまいます。
また、排泄物の量が増えることで、バクテリアが一生懸命働き硝酸塩と呼ばれる物質が蓄積しやすくなります。
硝酸塩が増加してしまうことで藻類が好む環境となるため、餌の回数は1日1回〜2日に1回のペースを推奨しますが、生体のお腹の凹み具合を観察しながら痩せないように調整してください。
餌の量を減らしたことで、骨が角ばって見えてくるようなら餌を一時的に戻すなど、生体の健康を最優先にしながらコケを抑制していくことが大切です。
水質の問題による藻類の発生
水槽の明るさを見直し、餌の量や回数見直しても藻類の発生が収束しない場合は、水質を疑っていきましょう。
ここで解説する水質とは、前述した水質悪化の硝酸塩などではなく、pHやGH、KHと呼ばれるものです。
とくに、pHが熱帯魚や水草が好む値となっていない場合は、水草がなかなか育たずに藻類が大繁殖してしまう可能性があります。
日本の水道水は7,0前後の中性だから大丈夫と思われる方もいるかもしれませんが、地域や、時期、その場所の水道ごとに、pHは変わってしまうため、じつは異常にpHが高すぎることが原因なこともあるものです。
pHは液体添加をし計測できるものか、デジタルモニターを使い、水槽の水質と普段換水で使用する水道の水質は最低限知っておきましょう。
高水温による藻類問題について
夏場など、水槽の水温が上昇することで藻類が発生しやすくなります。
これは、水温上昇に伴いバクテリアが衰弱し浄化能力が低下することで水質が悪化することが、多くの原因です。
藻を食べる生物とその導入方法
水槽に藻類が生える原因が分かったら、今度はその原因から対処法を実践していきます。
前述の藻類の発生原因でも触れましたが、まずは下記4点から手直ししていきましょう。
- 水槽に当たる光の量を減らす
- 生体に与える餌の量を減らす
- ろ過フィルターを強化する
- 水換えをする
この4つを手直ししてら基本が構築できることで、水槽の状態は格段に向上するはずです。
そこで、いよいよ今度は再発防止策を兼ねてメンテナンスフィッシュを適正数投入していきましょう。
おすすめの藻類対策用、メンテナンスフィッシュを紹介していきます。
オトシンクルス
熱帯魚水槽の藻類対策として、最も有名なメンテナンスフィッシュがオトシンクルスです。
南米原産の小型ナマズの仲間で、吸盤のような口で水槽面から石や流木の表面、そして水草の表面に生える藻類までしっかりクリーニングしてくれるメンテナンスフィッシュです。
様々な藻類があるなかで、とくに茶色の藻類に対して高い能力を発揮します。
私は、30センチ水槽で3匹前後、60センチ水槽で5匹前後を目安に投入しています。
ヤマトヌマエビ
オトシンクルスとセットで、熱帯魚水槽の藻類対策として投入することが多いのが、このヤマトヌマエビです。
ヤマトヌマエビは、水槽面や水草の表面に生える茶色の藻類対策ではなく、水草や流木、石に生える糸状の藻類や、流木に生える白カビや水アカなども食べてくれる、非常に優秀なメンテナンスシュリンプです。
30センチ水槽で3匹前後、60センチ水槽で8匹前後を投入目安にしていますが、藻類が異常に生えている場合はその倍入れることもあります。
ミナミヌマエビ
ヤマトヌマエビだとサイズが大き過ぎる、水草を植栽したばかりまたは、柔らかく水草被害をできるだけ避けたい方へおすすめなクリーナーシュリンプが、ミナミヌマエビです。
ヤマトヌマエビより藻類の除去能力は弱いことはデメリットですが、水草の食害被害も少ないメリットがあります。
ミナミヌマエビでコケ取り成果を上げたい場合は、数を増やすことで期待できます。
とは言え、藻類対策能力を最優先にするなら、ミナミヌマエビよりも私ならヤマトヌマエビを追加します。
そのくらい、ヤマトヌマエビとミナミヌマエビはコケ取り能力に差があります。
ミナミヌマエビは、淡水水槽でも簡単に繁殖ができるのもポイントなので、繁殖を楽しみたい方にもおすすめです。
石巻貝
様々な水槽を綺麗にするメンテナンスフィッシュのなかで、最強のコケ取り生物はこの石巻貝ではないでしょうか。
似た種類で最強コケ取り生物と呼ばれるカバクチカノコ貝もいるのですが、実際に藻類除去をさせてみると石巻貝は遜色ありませんし、カバクチカノコ貝よりリーズナブルな点もおすすめです。
水槽面の藻類はもちろん、流木や石の表面、大きな葉を持つ水草の表面も綺麗に藻類を取り除いてくれます。
藻類除去としては非常におすすめですが、1つだけデメリットがあります。
それは、白く硬い卵を水槽に産み付けることです。
正直、水槽の鑑賞性が低下すること、硬いことで流木や石に産み付けられてしまうと、完全に綺麗に取ることが難しいです。
美しい水草水槽を管理する方が、石巻貝の導入をしない理由はここにあります。
水槽の鑑賞性を最優先に置くことは導入は控えて、オトシンクルスにしましょう。
サイアミーズフライングフォックス
サイアミーズフライングフィックスは、頑固な黒髭ゴケを食べてくれる貴重なメンテナンスフィッシュです。
水草水槽の藻類除去として、オトシンクルスより強力な効果を発揮してくれますので、水草水槽のコ藻類で悩んだ時は導入を検討するのも良いでしょう。
ただし、石巻貝同様、サイアミーズフライングフォックスにもデメリットがあります。
それは、大きくなりすぎてしまうことです。
小型サイズで購入したものの、成長し巨大化すると他の生体を追いかけ回すなど問題が出ることもあります。
120センチ以上の水槽に1匹ぐらいからが導入の目安となり、小型水槽には向きません。
なお、一度入れると編みで捕獲することも難しいので、導入には深く理解してから迎えるようにしましょう。
最近では、シルバーフライングフォックスもおすすめです。
藻類除去のための製品と除去方法
おすすめの藻類掃除用具とその使い方
水槽表面の掃除をする際に、多くの方はスポンジを使用するはずです。
とくに最近では、メラミンスポンジを使用する方も多いこととおもいます。
確かに、メラミンスポンジはしっかり汚れをとる能力は高いため、水族館でも使用しているところもあります。
しかし、繰り返し使用することで崩れた破片が水槽内に散ってしまうことで、熱帯魚が誤飲してしまう危険もあります。
このことから、メラミンスポンジを使用する場合は、破片が水槽内に散らばらないように気をつけましょう。
また、メラミンスポンジの危険を回避するため、わたしはオルカ アルジーリムーバル ブラシクロスという商品を使用しています。
この商品は繰り返し使用できること、国産品のきめ細かい繊維で構成されているため、傷がつきにくいという特徴があります。
最近発売された新商品ですが、今ある水槽表面の藻類を除去する商品としては最も良い商品だと感じています。
頑固な藻類を除去する最強コケ取り道具
ブラシクロスで取りきれない硬い藻類を除去したい場合は、ADA社のプロレイザーがおすすめです。
藻類を除去する商品としては高価ですが、お値段以上に価値のあり効果を実感できる商品です。
刃が鋭いため取り扱いには注意をし、使用しない時はカバーなど付けて保管をしましょう。
おすすめの藻類除去剤と使用法
藻類を人力で除去してもなかなか改善されない、または頑固でしつこい藻類をなんとかしたいと商品に頼りたくなる方もいるはずです。
このような商品を使用する場合、まずはその前に藻類が発生している原因がどこにあるのかをしっかり理解し、それに対して効果的な藻類除去剤を選定しなければなりません。
以上を踏まえて、それでも藻類を除去したいなら、エーハイムのリン酸除去剤は候補に入れる1つです。
エーハイム リン酸除去剤は、pHを変動させることなく、水槽内の藻類発生の原因となるリン酸塩やケイ酸塩を吸着して除去する吸着剤です。
熱帯魚水槽だけでなく、海水魚水槽やサンゴ水槽のソフトコーラル、水草、エビ、カニ等の飼育水槽に使用できる、淡水海水両用となっています。
また、p-cutなどの商品も目に見て効果が出やすい商品の1つですが、水草水槽や海水では使用できないなど制限があるので、購入前によく確認をしましょう。
ただし、リン酸吸着剤を長期的に使用し続けると効果が薄れてしまったり、飼育魚の骨格が曲がってしまうなどのデメリットが生じる可能性もあるため、できれば一時的な緊急対応としてのみ使用することをおすすめします。
藻類の発生を防ぐための長期対策
藻類発生を長期的に防ぎ美しいアクアリウム水槽を維持管理するためには、コツがあります。
そのコツをしっかりと理解し水槽へ反映させることで、キラキラした水のなかを気持ちよく熱帯魚たちが泳ぐ水槽を鑑賞することができます。
ここでは、そんな藻類の発生を防ぐための長期対策について、解説いたします。
蓄積された水槽の汚れと養分の処理
水槽を藻類の発生を抑えつつ、美しい水槽で管理するためには定期的管理は必須ですが、その中でもやはり水換えは重要です。
水換えをしないで美しい水槽を管理できる方もいるかもしれませんが、色々やってきて思うこと。
それは、やはり水換えすると綺麗に保ちやすいことが多いと、経験上感じています。
地域や水道の仕組みによっては、水換えに使用する水のpHなどが高すぎる場合があるため、水換えに使用する水の水質は計測しておきましょう。
もし、水槽に求める水質に対しpHが高い場合は、テトラ社のph/KHマイナスなどを使い調整するようにしてください。
水換えに使用する水を確保できたら、水換えをしていきます。
水換えは、ただ水槽の水を抜くだけでなく、砂や砂利の中に蓄積した汚れを吸い出したり、水草の中に溜まった汚れを除去していきましょう。
汚れを取る場所がないなら、水槽底付近の水を抜くようにします。
水換えのペースですが、亜硝酸塩が計測された場合はとくに水換えをして薄めていきましょう。
水槽の状態が良い時は、亜硝酸はほぼ計測されず硝酸塩のみ検知できるようになります。
これは、バクテリアが亜硝酸塩を硝酸塩に変えているバクテリアが正常に繁殖されている証でもあります。
硝酸塩も蓄積しすぎるのは良くありませんが、まずは亜硝酸塩の蓄積に注意をして水換え管理をしていきましょう。
藻類の原因・対策のまとめ
アクアリウム水槽における藻類の発生原因から解決策まで徹底解説しました。
熱帯魚水槽でも金魚水槽、メダカ水槽でも、アクアリウムを管理していれば必ず1度は藻類に悩む日が訪れるものです。
その時に、なぜ藻類が発生してしまったのか、冷静に分析し原因を把握し対処していくことがとても重要です。
正しい、対処ができるようになれば決して難しい問題ではありません。
今まで、アクアリウム水槽の藻類除去対処には様々な方法がありましたが、弊社公式YouTube、アクアリウム大学で今までの水槽管理経験ノウハウを公開したところ、多くの方から藻類が減った、水槽を綺麗に維持管理することができるようになったといった、感想をいただけるようになりました。
アクアリウムは正しい水槽管理方法を身につければ、決して難しいことではありません。
ここまでご覧にいただきそれでも難しくわからない方は、お気軽にアクアレンタリウムまでご相談ください。
1回から訪問可能な、出張水槽メンテナンスも承ります。
プロのメンテナンス方法から、いまお持ちの水槽を日々どのように管理することが正解なのか、すべて専属担当者がやさしくお伝えいたします。
みなさまのアクアリウムが理想の水槽なるお手伝いができれば幸いです。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。
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